アルトゥール(Arthur)ことアルトゥール・エンヒキ・ハモス・ジ・オリヴェイラ・メロ(ポルトガル語: Arthur Henrique Ramos de Oliveira Melo、1996年8月12日 – )は、ブラジル・ゴイアニア出身のサッカー選手。
リーガ・エスパニョーラ・FCバルセロナ前所属、現ユベントスのブラジル代表でポジションはMFです。
今回は、なぜバルセロナでも有望視されていた選手が、ユベントスに移籍することになったのか、アルトゥールのプレースタイルを見ていきながら紹介していきます。
【最新】アルトゥールのプロフィール
こちらがアルトゥールのプロフィールです。
名前 | |||
---|---|---|---|
本名 | アルトゥール・エンヒキ・ハモス・ジ・オリヴェイラ・メロ Arthur Henrique Ramos de Oliveira Melo | ||
ラテン文字 | ARTHUL | ||
基本情報 | |||
国籍 | ブラジル | ||
生年月日 | 1996年8月12日(23歳) | ||
出身地 | ゴイアニア | ||
身長 | 171cm | ||
選手情報 | |||
在籍チーム | FCバルセロナ | ||
ポジション | MF(CMF/DMF) | ||
背番号 | 8 | ||
利き足 | 右足 | ||
ユース | |||
2008-2010 | ゴイアス | ||
2010-2015 | グレミオ | ||
クラブ1 | |||
年 | クラブ | 出場 | (得点) |
2015-2018 | グレミオ | 35 | (2) |
2018-2020 | バルセロナ | 27 | (0) |
2020- | ユヴェントス | 0 | (0) |
代表歴2 | |||
2013 | ブラジル U-17 | ||
2014-2015 | ブラジル U-20 | ||
2018- | ブラジル | 13 | (0) |
1. 国内リーグ戦に限る。2019年7月9日現在。 2. 2019年6月28日現在。 |
結果を残しているというよりは、サッカーのセンスで試合を盛り上げたり、チームに貢献している選手です。
アルトゥールのプレースタイル
アルトゥールの大きな特徴は、パスです。
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本人もパスに強いこだわりを持っており、パスの練習ばかりしているというニュースまであるくらいです。
まだ、若い選手ですので将来が非常に楽しみな選手といえるでしょう。
高いパス能力を生かしたチャンスメイク
アルトゥールは時折、びっくりするようなパスを供給します。「え!?そんなところにパスを通すの!?」と、サプライズを起こしてくれます。
ゴールに繋がる決定的なパスを出せるのが、アルトゥールの大きな特徴であり凄さだと思います。
バルセロナの前線には、メッシをはじめスアレスやデンベレなどがいます。まだ加入して1年ですので、これからドンドンと連携が良くなるはずです。
そうなった時のバルセロナが非常に怖いですね。それほど、アルトゥールのパス能力は破壊的です。
シャビのようなゲームメイク
決定的なパスを出せるアルトゥールですが、ゲームメイク能力も優れています。
その姿は、バルセロナのレジェンドであるシャビを彷彿させてくれます。
メディアたちは、シャビの後継者と声高々に報道しています。
個人的には、シャビのようになるにはまだまだだと思いますが、そういった声があるのも事実です。
アルトゥールは、オフザボールでも味方からボールを受けられるよう的確な位置にいるし、ボールを散らして攻撃を組み立てる能力があります。
もっと、戦況を読む力がつけばシャビを超える存在になるでしょう。
後方のブスケツとともに、バルセロナの中盤を盤石なものにしています。
安定したボール運びに、高いキック精度でゲームメイクのできる選手です。
ブラジルでは1試合平均82.2回のパスを供給し、93.1%の成功率という驚異の数字をたたき出しています。
スペースを見つけて高精度のロングを送ることも可能ですが、確実なショートパスでゲームを組み立てたり、攻撃の起点をつくるプレーが多いというのが印象です。
視野が広く戦術眼がある為、ゲームの展開を読んだり、仲間を活かして相手を崩すのも得意。
ボールキープ力の高さ
アルトゥールは細かいボールタッチとターンで相手をいなしたり、チャンスだと思ったら自身でドリブル突破を試みます。
その姿は、神戸で活躍するイニエスタを彷彿とさせてくれます。
アルトゥールはパスも素晴らしいですが、イニエスタのようなドリブルとキープ力があるからこそ、決定的な仕事ができるのかもしれませんね。
足元のテクニックもあるため、囲まれてもボールを失わず、確実に展開できるのも大きな強み。
バルセロナの中盤には必須のスキルといえるけど、その中でも目立つほどうまい。
テクニックや戦術眼、展開力からイニエスタやシャビを掛け合わせたような選手と言われてるけど、くるっと素早く回るターンとかは本当にシャビみたいですよね。
高い守備意識
攻撃で大きな違いをつくれるのは勿論、守備のハードワークを厭わないのも素晴らしい。
172㎝と小柄ながら体は強く、激しく当たってボール奪取することができる選手です。
イニエスタ×シャビと例えられますが、守備意識に関してはアルトゥールの方が高いのではないかなと思います。
テクニカルでありながらハードワークもできる。中盤としては理想的な選手ではないでしょうか。
今後のセレソンでの、そしてバルセロナでの活躍が非常に楽しみな選手です!
アルトゥールの課題は「守備技術」
アルトゥールは攻撃面において違いを作れる選手です。
18-19シーズンでは、その能力を証明しているはずです。
しかし、アルトゥールに求めたいことは「守備」です。
171cm73kgと恵まれた体格とはいえませんが、守備技術はつけられると思います。
例えば、アーセナルのルーカス・トレイラ。トレイラは169cm60kgとアルトゥールより小さいですが守備に定評があります。
バルセロナは、ボール保持して戦うスタイルであるため守備のタスクは少ないですが、必ず1試合のうちには守備に回る時間帯があります。
そうなった時、高い守備能力がある選手がいれば、チームに心強さを与えてくれるはずです。
もし、アルトゥールがトレイラやカンテのような守備技術がつけば…恐ろしいですね(笑)
▼アルトゥールの上手さが分かるプレー動画
アルトゥールの評価と役割
イニエスタを模倣し、シャビのような選手にと言われ続けられた選手です。
実際にどのような評価をされていて、バルセロナに何を求められた役割だったのでしょうか?見ていきます。
フットボリスタ編集部から依頼を受け、バルセロナに今シーズン加入したブラジル人MFアルトゥールのプレーを分析した記事を紹介します。
彼のプレーを見ていると、シャビかと見間違えるほどプレーも背格好もよく似ている。
メッシやシャビ自身も、「似ている」と言及しているそうです。
アルトゥールはまた、「インディペンデントな選手」でもある。
バルセロナの医師であるリカルド・プルナは、その定義についてこう説明しています。
「インディペンデントな選手とは、グラウンド上で起こっているすべてを視野に入れられる選手だ。
スペースを大変うまくコントロールでき、創造性にあふれている。
単独で創造できるから、グラウンドで起こっていることにインディペンデントで(独立して)いられるわけだ」
インディペンデントな選手は、認知に優れています。
認知とは「グラウンド上の情報を処理するメンタル的な能力」(リカルド・プルナ)である。
シャビは「MFが最も優先すべきことは、中盤でボールを失わないことだ」と言っています。
アトレティコ・マドリー戦におけるアルトゥールのパス成功率は90.5%。
ここまでのリーガエスパニョーラにおけるパス成功率は94.5%であり、これはリーガ1位の成績だ。
ヨーロッパトップレベルの守備力を誇るアトレティコ・マドリーに対して、90.5%は立派な数字である。
アルトゥールの特徴はほとんどボールを失わず、パスミスもしない選手であること。
それを可能にするのは、高い認知力。⇨素早く状況を認知し、決断し、実行に移せることである。
素早く空いているスペースを見つけ、動いてパスを受け、進行方向へパスをする。
できない場合は有効なスペースを瞬時に予測し、見つけ、空いているスペースへプレーを方向づけることができるのです。
ボールを相手から取り戻した時、チームメートがポジションにつくためにターンをしたり、空いているスペースへ「コンドゥクシオン(スペースへ運ぶドリブル)」をすることでチームメートがポジションにつく時間を作り出すことができるのです。
バルサで言うところのPausa(休憩)を、試合の状況に必要とされる時に入れることができる。
これは、時間とスペースをコントロールできる、ごくわずかな選手だけができるプレーだ。
バルサは、やっとシャビの後継者たる人物を見つけた。
それもまだ22歳と若く、これからさらにバルサのプレースタイルに適応し、進歩すると考えるのです。
アルトゥールは、時間とスペースを操る。
バルサのDNAを持つ選手とは、時間とスペースをコントールできる選手のことだ。
メッシ、ブスケッツ、シャビ、イニエスタ……さらに、ネイマールもそうであったと考える。
彼らのDNAを、アルトゥールも持っていると言われています。
リーガエスパニョーラ第13節アトレティコ・マドリーとのアウェイ戦。
バルサは[4-4-2]システムで、アルトゥールはブスケッツとダブルボランチを組んだ。
アルトゥールのプレーエリアは、主にゾーン2(横方向に3分割したピッチの中央ゾーン)の左ハーフスペースと、センターレーンである。
アルトゥールのゾーン1(横方向に3分割したピッチの自陣寄りのゾーン) におけるボール出しでの役割は「センターゾーン(ハーフスペース、センターレーン含む)を出るための最適なプレーを構築することを保証する」(4回)。
※()内の回数は、この試合のバルサのプレーモデルにおいて、アルトゥールが実行した攻撃の役割のプレー頻度を示す。
バルサのボール出し(ゴールキック含む)において、アルトゥールの配置は、基本的にゾーン1の左ハーフスペースで、相手2トップの背後でボールを受けること。
ボランチのブスケッツがパスを受けることができない場合、ボールを受ける役割がある。
彼は2列目(CBが1列目)でプレーをすることが多く、相手2トップの背後、左ハーフスペースが居場所である。
そのため、ゾーン1のセンターレーンか左ハーフスペースにスペースを見つけてパスを受け、ボールをゾーン2にコンドゥクシオンで運ぶ。
もしくは前方でフリーになっている選手に素早くパスをすることが彼の役割だ。
この場合、相手のダブルボランチの1人がミックスディフェンスでブスケッツのマークについた。
相手の2トップもミックスで、バルサの両CBを監視している。
しかし相手の残り3人のMFはゾーンディフェンスでバルサの4人(セメド、ビダル、アルトゥール、ジョルディ・アルバ)を監視している。
バルサは、GKから多彩なボール出しのパターンを持っている。
相手のアトレティコ・マドリーのハイプレスの配置とディフェンス方法(ゾーン、マンツーマン、ミックス)によってパターンの中から最適な方法を瞬時に決定するのだ。
アルトゥールはブスケッツのマークを自身に引きつけるか、自身がボール保持者のGKテア・シュテーゲンからボールを受けるために、ブスケッツをマークしている相手ボランチとFWの間の選手間にポジションを取る。
そうすることで、ゾーン1のセンターゾーンで相手の前3人に対し、4対3の数的優位な状況を作った。
ブスケッツをマークしていた相手ボランチがアルトゥールに気を取られた瞬間、ブスケッツはテア・シュテーゲンからパスを受ける。
ブスケッツは相手ボランチを引きつけ、アルトゥールにパス。実は、この動きはアトレティコ・マドリーも予測していたか、罠であったように感じる。
アルトゥールにボールが入った瞬間、相手はボランチとFWの2人で猛然とプレッシャーをかけて挟みにきた。
だが、アルトゥールは予測していたかのように身体の向きとは反対の方向に素早くターン、左SBのジョルディ・アルバにパスをして「ボール出し」をきれいに実行した。
アルトゥールはボールを受けに行く前、必ず周囲の状況を事前に見ている。
この時も、体の向きとは反対となる左サイドレーンのスペースを見ていた。
この周囲の状況を瞬時に把握し、最適なプレーを素早く選択する、スペースを見つける、相手のプレーを読み、予測する。
相手のプレッシャーが激しくて、小さなスペースしかなくとも落ち着いて最適な決定を下すことができる秘訣だ。
名選手の条件である、「相手が近くにいても冷静に、素早くプレーでき、最適な判断を下す」ことができる。
メッシが言うように「彼は、ラ・マシア出身選手のスタイルだ。狭いスペースですごく良いプレーを見せる。ボールを失わない」。バルサ出身ではないものの、ラ・マシアのDNAをその身に宿し体現する選手なのだ。
上図では、相手のライン間の狭いスペースでボールを受け、進行方向にパスコースがない。
この状況からコンドゥクシオンを使って相手を動かしスペースを作り、逆サイドへのパスコースを作り出す。
コンドゥクシオンをしている時は、顔が上がり周囲を確認。
このレベルなら当たり前かもしれないが、間接視野でボールを扱うことができるので、素早く的確な判断ができるのだろう。
前進(ゾーン2)の役割
「センターゾーンの相手ディフェンスのライン間でサポートする」 (14回)。
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ブスケッツがDFラインに入った時、相手2トップの背後のライン間にポジションを取ることがアルトゥールの役割になっている。
アルトゥールはボールを受ける前に、左後ろを見て、マークがきているか、パスコース、スペースはあるかを瞬時に確認、ブスケッツから縦パスが入る前にも右後ろを見て、背後に相手はいないか、パスコースはあるか首を振って確認している。
このようにして、プレッシャーが自分にきている場合は、相手を引きつけて、空いているサイドのスペースにボールを展開してプレーを前進させる。
このゾーン2のセンターゾーンにおいて、狭いスペースでボールを受けて、相手を引きつけるだけ引きつけて、サイドにオープンスペースを作り出し、プレーを前進させるパスを出すのが、アルトゥールのゾーン2の役割であり、彼の特徴でもある。
これがゲームを構築する能力だと言えるだろう。
「体をプレーの進行方向に向ける」(29回)。 「前後のライン(FWとDF)「に対して斜めにサポートをする」(24回)。
体を進行方向に向けることと、前後のライン(例:FWラインとDFライン)に対して斜めにサポートすることは、バルサのプレースタイルの根幹である。
前後のラインに対して斜めにサポートすると、チーム全員が斜めの関係になり、半身になることで前後のラインの選手を視野におさめることが自然とできる。
超一流の選手は必ず前を向いてプレーをすることができるが、アルトゥールも半身から前を向くボールが足下から離れないコントロールが非常にうまいので、狭いスペースでプレーができる。
ブスケッツからボールを受ける前、アルトゥールは少なくとも3回、右前方を、首を振って見ている。
体の進行方向の視野はそのままでも見えるので、周囲の状況を確認しておくことで、相手とチームメートの配置を頭に入れることができる。
どのように相手がプレッシャーをかけにきて、どこにスペースができるのかを予測できることだろう。
相手のプレーを読み、次のプレーを予測するための視野の確保がアルトゥールのプレーのベースになっている。
「前進することができない場合、有用なスペースへプレーを方向づける」 (39回)。
アルトゥールの特徴として、広い視野がある。彼には相手の配置がすべて理解できているので、どこにスペースができるか、今どのような状況かを瞬時に判断し、プレーの方向を変える。
下図のように、相手が全員右サイドからセンターレーン付近によっていて、前方へのパスコースがない場合、アルトゥールは素早くプレーの方向を変える。
「相手ディフェンスのプレッシャーが激しい状況では緊急のサポートをする」 (17回)。
プレーの方向を変える能力が高いアルトゥールはチームメートが相手に囲まれてプレッシャーをかけられ、パスコースがないような時に、小さなスペースを瞬時に見つけ出し、パスを受けてオープンスペースへプレーの方向を変える。
このように緊急のサポートをする、チームメートを助けるためにパスコースを見つけ出すことも彼の特徴の一つである。
このような選手がチームにいると、非常に頼もしく、信頼されることだろう。
ブスケツもメッシも相手に激しくプレッシャーをかけられて苦しい時は必ずアルトゥールが近くに寄って助けている。
「パスをした後に連続性(次のプレーへ)を示す」(12回)。
アルトゥールはパスをした後立ち止まり、自分のパスに見とれているような選手ではない。
彼はパスをした足で次のプレーへと瞬時に移動して、チームメートを助け、チームのために働く卓越した選手だ。
彼のような選手を見つけて来たバルサのスカウティングは本当に凄い。
アルトゥールの攻撃面での課題
「グラウンド内側のプレースペースのバランスを取る」 (8回)。
例えば、メッシが中盤に落ちてアルトゥールのスペースに入って来た時、ポジションバランスを取るために、少し自信がなさそうに、こっちで良いのかなというような雰囲気で他のスペースへ移動しているように見える時がある。
これはバルサのプレースタイルへの適応とチームメートとの相互作用の問題であると思う。
シャビが言うように「あと20~30試合もすれば、我われは自信に満ちたアルトゥールを見ることができるだろう」
「チームメートが有利になる進行方向へのパスを出す」(13回)。
これは課題ではない。アルトゥールは、素晴らしいスルーパスや縦パスを前線に通す能力がある。
バルサにおいてのプレーモデルの中の役割もあると思うが、彼にはファイナルゾーンで決定的なパスを出す能力がある。
この試合では、40mはあるロングスルーパスをスアレスに通している。
「チームメートが有利になる進行方向へのパスを出す」は、攻撃面で最も重要なパスをする能力であるので、さらに磨きをかけていってほしい。
アルトゥールがバルサへとさらに適応したら、ゾーン3(ファイナルゾーン)で、もっとアグレッシブなプレーがこれから見られることだろう。
そういった意味で、このアトレティコ・マドリー戦でのアルトゥールのシュートは1本だけであった。
[4-4-2]のシステムでダブルボランチだったことも関係しているのかも知れない。
22歳と若く、プロ選手としてのキャリアもまだ少ないので、これからの飛躍が楽しみな選手であり、バルサのリーダーになっていく可能性がある選手だと思う。
一昔前まではシャビやグアルディオラみたいな選手ばかり輩出すると言われたバルサのカンテラだが、現在は、他からの移籍に頼っているのは少し悲しいことでもある。
イニエスタを模倣したブラジル人が新しいシャビになったのだ。
アルトゥールのプレーはシンプルだ。パスを受けて相手を引きつけてパスをする。
ただ、クライフが言うようにシンプルにプレーをすることがフットボールでは最も難しいことだ。
アルトゥールは冷静に落ち着き払って、相手のプレッシャーなど関係ないかのようにフットボールをシンプルにプレーしていく。
アルトゥールは認知力に優れた選手
アルトゥールは、よく首を振って周囲の状況を観察し、把握して、記憶している。
しかし、すべての状況が見えているわけではない。
なぜなら、ほんの数秒の時間の経過とともに選手の配置や距離、ボールの位置は変わるからだ。そこで聴覚が必要になる。
リカルド・プルナ医師はインディペンデントな選手の特徴をこのように述べている:
「視覚的、聴覚的に非常に優れた者たちだ。背中を向けた状態で視覚的な刺激を受けなくても、聴覚的な刺激によってどこに選手がいるかがわかる」
つまり、見えていない方向でもチームメイトの存在や相手ディフェンスの存在を聴覚的に感知しており、相手が背後から激しいプレッシャーをかけてきても、ターンなどを使って方向転換し、フリーのチームメイトにパスをすることができる。
そのような認知力の高い選手はプレーにスピードがある。視覚的、聴覚的に優れているので、チームメイトの配置をすべて感知し理解しているからだろう。
このような認知力の高い特徴を持つ選手がアルトゥールだ。
イニエスタ、シャビ、メッシ、ブスケッツ、ネイマールたち、さらに昔であればグアルディオラやクライフもそうであった。
その系譜にアルトゥールは入ることになる。
まさしくバルサのDNAを持った素晴らしい選手だ。
こんな選手がなぜバルセロナからユベントスに移籍することになったのでしょうか?見ていきたいと思います。
アルトゥールが、バルセロナからユベントスに移籍した理由とは?
この話を聞いた時にバルセロナは後悔するんじゃないんかなって思って仕方がなかったのが本音です。
実際の移籍内容と移籍理由についてどうなのか見ていきます。
バルセロナは2020年6月29日、ブラジル代表MFアルトゥールをユヴェントスに放出することを発表しました。
母国ブラジルのグレミオでプロデビューを果たし、2018年にバルセロナに加入したアルトゥール。
公式戦72試合に出場し、昨季はラ・リーガ優勝にも貢献しました。
しかし、クラブは新型コロナウイルスの影響で深刻な財政難に陥っており、資金確保のために放出を進めていたのです。
財政的に放出が大きな理由だったのですね。
アルトゥール本人は当初残留を希望していたものの、最終的には移籍を承諾。
28日にトリノでメディカルチェックを受け、翌日にユヴェントスに移籍することが決定しました。
『Goal』の取材では、5年契約となることが分かっています。
年俸は最初のシーズンに500万ユーロ(約6億円)+ボーナスで、5年間の間に最高で700万ユーロ(約8億4000万円)+ボーナスまで上昇します。
バルセロナは公式ウェブサイトで、次のような声明を伝えています。
「バルセロナとユヴェントスは、アルトゥール・メロの移籍について合意に達しました。
イタリアのクラブは7200万ユーロと、インセンティブとして1000万ユーロを支払うことになります」
なおユヴェントスは、MFミラレム・ピャニッチを6000万ユーロ(約72億円)でバルセロナに売却することが決定的となっています。
そのためアルトゥールの獲得は、実質1200万ユーロ(約15億円)及びインセンティブ最大1000万ユーロ(約12億円)、加えてピャニッチの譲渡で交渉がまとまった形となります。
またこういった記事が挙げられています。
アルトゥールとピャニッチ、世紀の不可解トレードはなぜ実現した?バルセロナとユベントスが抱える金銭事情と、両選手が選ばれた理由
アルトゥールのユベントス移籍と、ミラレム・ピャニッチのバルセロナ移籍が現地時間2020年6月29日に発表され、特にバルセロナの未来を担うと期待されていた23歳のアルトゥールの移籍は衝撃を与えているようです。
大型トレードが実現した理由を紐解くと、クラブが抱える財務的な事情と、制度上のカラクリが隠れていましたので紹介します。
26日の記者会見で、今季途中からバルセロナの指揮を執るキケ・セティエンはアルトゥールのユベントス移籍についての質問にこう答えています。
それから数日、近年まれにみる大型トレードが発表された。
ブラジル代表MFのアルトゥールがユベントス、ボスニア・ヘルツェゴビナ代表MFのミラレム・ピャニッチがバルセロナで来シーズンからプレーすることになっています。
移籍が決まる数日前まで、アルトゥールは残留を希望していたにもかかわらず、である。
アルトゥールは2018年夏にグレミオからバルセロナに移籍している。アンドレス・イニエスタの後釜として1年目からリーグ優勝に貢献。
コパ・アメリカ2019(南米選手権)ではブラジル代表を優勝に導いた。
バルセロナではアルトゥーロ・ビダルやフレンキー・デヨングより序列は下がるものの、23歳と若いアルトゥールにかかる期待は大きかった。
アルトゥールはバルセロナとの契約を4年も残していた。
ただ、移籍金3000万ユーロ(約39億円)とインセンティブ最大900万ユーロ(約11億円)でバルセロナに加入したことを踏まえれば、2年間で移籍金7200万ユーロ(約87億円)とインセンティブ1000万ユーロ(約1億2000万円)まで釣りあがっているのは不自然に見える。
さらに、バルセロナが若いアルトゥールを放出したことにも疑問が残る。
イバン・ラキティッチ、セルヒオ・ブスケッツ、ビダルは30歳を越えている。20歳のリキ・プッチを主力として数えるのはまだ早い。
23歳のアルトゥールはデヨングとともにこれからのバルセロナを支えていくはずだったのではないか。
さらに、ピャニッチの移籍金が6000万ユーロ(約72億円)と500万ユーロ(約6000万円)のインセンティブいうのは高すぎる。
バルセロナにとっては喉から手が出るほど欲しかった選手というわけでもなく、30歳のMFに払う額としてあまり現実的とは言えない。
アルトゥールを手放してまで獲得する選手というわけでもないというのは、少し考えればわかるはず。
結果的にバルセロナが受け取ったのはわずか1200万ユーロである。
会計上の抜け道
しかし、財務的な問題を解決するためと考えると、不自然に高い移籍金も戦力的に必要性のないように見えるトレードも合点がいく。
形式の上では両選手がトレードされ、移籍金の差額となる1200万ユーロをバルセロナが受け取ることになる。
しかし、会計上は移籍金全額がそのシーズンの利益として計上されるのに対して、支払う移籍金は減価償却される仕組みになっています。
つまり、バルセロナ側から見れば、アルトゥールの売却により7200万ユーロの利益を得ることができた。
そして、ピャニッチの獲得に要した6000万ユーロは会計上4年間に分割され、1年あたりに支払うのは1500万ユーロ(約18億円)という形になる。
年俸を考慮から外せば、このトレードで得た本年度のバルセロナの利益は5700万ユーロ(69億円)ということになる。
ユベントスもアルトゥール獲得のための費用は減価償却される。
こちらは5年契約だが、7200万ユーロは4年間で支払われるという。1年あたりでは1800万ユーロ(約22億円)となり、4200万ユーロ(約51億円)の利益が出る計算となっている。
制度上の抜け道として、実質的なトレードであっても移籍金を高くする必要があった。
あまりにも法外な金額だと不正になってしまうので、できるだけ高い金額で現実的なラインを突いたということだった。
新型コロナウイルスにより受けた経済的損失に対処するため、UEFA(欧州サッカー連盟)はファイナンシャル・フェアプレー(FFP)の一時的な緩和を決定している。
それでも、両クラブの財務的な問題を解決するために、利益が出る「ように見せる」トレードが実現されてしまった。
アルトゥールとピャニッチが選ばれた理由
では、なぜ彼らが選ばれたのだろうか。
バルセロナは昨夏も問題をクリアするために動いていた。減価償却による単年の計算では、1億2000万ユーロ(約145億円)で獲得したアントワーヌ・グリーズマンは2400万ユーロ(29億円)、7500万ユーロ(約91億円)で獲得したフレンキー・デヨングも1500万ユーロを払っていることになる。
マウコムは獲得時を上回る額で売却できたが、グリーズマンとデヨングの獲得資金に消えてしまっている。
そこで、バルセロナは放出候補を探した。ただ、放出できれば誰でもいいわけではない。
獲得時の移籍金を上回っているか、もしくはそれをすでに減価償却できていなければいけなかった。
まずはイバン・ラキティッチの売却を模索している。
しかし、昨夏の時点で31歳、2年の契約を残していたこともあり、なかなか買い手がつかなかった。
契約が残り1年となった今夏はセビージャ復帰が濃厚なようだが、昨夏に設定された移籍金よりは低くなるだろう。
ただ、当初の契約年数は19年夏までで減価償却はクリア、加入時の移籍金は1800万ユーロとお手頃だったため、今回の条件には合致する人材だった。
ジェラール・ピケやリオネル・メッシはアンタッチャブルで、マルク=アンドレ・テア・シュテーゲンやルイス・スアレスも同様に不可能。
実現すれば財務的な問題はクリアできても、会長はソシオから不信任案をつきつけられてしまう。
まだ減価償却ができてないウスマン・デンベレやフィリッペ・コウチーニョを獲得時以上の金額で売却するのは難しかった。
アルトゥールは契約を4年残していたが、獲得時に費やした倍額以上で売ることができた。
財務的な課題を解決できる人材を探した結果、多少の批判は承知の上でアルトゥールが選ばれたということになる。
一方で、バルセロナはピャニッチの契約解除金を4億ユーロ(480億円)に設定。
減価償却という理由で、ピャニッチは34歳まで移籍させることが事実上できなくなっている。
ユベントス側からしてみても、財務上のうまみを得たうえで、アルトゥールを獲得できるメリットは大きい。
インセンティブを除けばユベントスが結果的に支払った金額は1200万ユーロ。
マウリツィオ・サッリとピャニッチは溝が深まっており、「ジョルジーニョ・ロール」が求められるアンカーには23歳のロドリゴ・ベンタンクールが評価を上げていた。
ユベントスにとっても一挙両得のトレードと言えるはずだ。
移籍が決まる前、セティエンは「もし彼(アルトゥール)が出ていくという運命であるなら、それを受け入れるしかない」と言ったが、一番大きな理由はお金の問題だった。
しかも、利益が出るわけではなく、FFPの制度上の抜け道を突いて誤魔化しただけ。
アルトゥールもピャニッチも両クラブの問題を一時的にうやむやにするための駒として使われたに過ぎなかった。
ビジネスのために使われただけだと言うことですね、おそらくユベントスがここから強くなると私は踏んでます。
バルセロナがここで痛い目にあうと思っております。
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本田
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